免疫療法(減感作療法)について
免疫療法(減感作療法)とは、アレルギーの原因物質(抗原)を少しずつ身体に与えることで、
簡単にいえば『抗原に慣らしてしまおう』という治療法です。
現時点ではアレルギー症状を抑えるだけでなく、治すことができる唯一の治療法です。
各治療法の長所と短所
長 所 | 短 所 | |
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薬物療法 |
長所
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短所
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免疫療法(減感作療法) |
長所
|
短所共通
皮下
舌下
|
治療法の選択


皮下免疫療法と舌下免疫療法の比較
皮下免疫療法 | 舌下免疫療法 | ||
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抗原種類 | スギ・ダニ | スギ | ダニ |
剤形 | 錠剤室温保存 | 錠剤室温保存 | |
対象 | スギ・ダニ | スギ陽性 | ダニ陽性 |
効果 | 舌下とほぼ同等 | 皮下とほぼ同等 | |
通院頻度 | 週2回、週1回、2週に1回と間隔をあけながら最終的には月1回 | 初回は1週間後、その後4週ごとに1回 | |
治療期間 | 3年以上 | 3年以上 | |
投与方法 | 上腕(二の腕)への皮下注射 | 錠剤を舌下に1分間保持後飲み込む | |
投与頻度 | 当初週2回、最終的には月1回 | 一日1回を毎日継続 | |
副作用 | 注射部位のかゆみや腫れが時々、まれに喘息発作様の全身症状 | 口内のかゆみや腫れが時々、まれに喘息発作様の全身症状 | |
費用※ | 注射料は増量期には一種につき 1回100円~270円程度、 同量維持期になると140円程度 |
薬局での支払額は 1週目が720円程度、 2週目以降は28日分で 2,800円程度 スギとダニの併用は 28日分で3,700円程度 |
薬局での支払額は 1週目が750円程度、 2週目以降は28日分で 2,450円程度 ダニとスギの併用は 28日分で3,700円程度 |
※令和4年4月診療報酬改定後。3割負担。診察料や処置料を除く
皮下注射による免疫療法
(減感作療法)
行えない方
ハウスダストやスギのアレルギーでない方、重い気管支喘息の方、ガンや免疫機能が低下している方、妊娠中の方。
ただし、妊娠していない時に始めて同量維持期に達した方は、妊娠中でも継続は可能です。
治療開始までに行うこと
安全に開始できる濃度を決めるための閾値検査を行います。
注意)薬の影響をなくすため、検査の1週間前からアレルギーの薬をやめる必要があります。
皮下免疫療法の治療スケジュル


注意点
熱があるときや喘息発作中など体調がすぐれないときは、副作用が強く出ることがあるため、注射は行わずに延期します。副作用に対してすぐ対処できるように、注射後15分は待合室にいて下さい。
副作用
喘息様発作を起こすことがまれにあります。そのため注射後15分間は待合室で静かにしていてもらい、発作に対しすぐ対処できるようにします。注射の濃度や量により、注射部位が赤く腫れることがありますが、ほとんどの場合一日で腫れはひきます。腫れが続く場合には注射の量を減量したり注射前に薬を飲んで腫れを予防する方法をとります。
効果
アレルギー性鼻炎と喘息には効果がありますが、アトピー性皮膚炎には無効といわれています。多くの方で開始3ヶ月以内に効果が出現してきますが、もう少し長くかかる方もいます。症状別の有効率は、くしゃみと鼻水に対しては70~80%ですが、鼻づまりに対しては40~50%にとどまっています。しかし3年以上治療を続けるとさらによくなります。鼻づまりがとれない場合は手術療法を勧めています(手術は原則として小田原市立病院に依頼をします)。
その他
入浴なども普通通り可能です。
何らかの都合で注射の間隔があいてしまったときは、注射量を変更することもあります。
舌下法による免疫療法
(減感作療法)
行えない方
スギまたはダニのアレルギーでない方、重い気管支喘息の方、妊娠中の方。
ただし妊娠していない時に始めた方で維持期に達した方は、妊娠中でも継続は可能です。
年齢制限はありませんが、舌下に1分間薬を保持できない方や、副作用を訴えることができない方は行えません。
舌下免疫療法の治療スケジュル


注意点
- スギの免疫療法はスギ花粉飛散期には始められません(5月中旬~12月中旬頃までに開始します)。
- 初回は薬局で薬をもらった後当院に戻っていただき、医師の前で薬を服用し30分間待合室で様子を見る必要があるため、午前は10時半まで午後は16時までにご来院下さい。
- 服用後2時間は激しい運動や入浴は控えて下さい。
- 熱があるときなど体調が悪い時は、副作用が出やすいため服用しないで下さい。
- スギとダニの両方を舌下免疫で行う場合は、投与間隔を5分間程度あけて下さい。
- 副作用に対して対処できるように、家族がいる場所で日中の服用が推奨されています。
副作用
服用後30分位で口内のかゆみや腫れ、喘息様発作を起こすことがありますが、多くの場合はそのまま継続できます。これらの副作用は治療開始後1ヶ月間やスギ花粉飛散期(スギ免疫療法の場合)に起こりやすいといわれています。